相場環境

2010年3月 4日 (木)

盛り上がらない相場展開の後で・・・

前回は、全然盛り上がらない日本の株式市場を念頭に置いて、これから公的年金の運用は一体どうなってしまうのだろうか?と言う視点から記事を書きました。ただ、こうした相場環境とは裏腹に、今後の市場動向や投資アイディアを見据える上で重要となるであろう外部材料は既に色々と出てきている様に思います。

例えば、トヨタ自動車のリコール問題にしても、既にこのブログでも幾つか記事を書いていますが、先月19日の新聞報道によれば、大和総研の試算によるとトヨタ車のリコール問題の影響で実質GDP成長率は0.10.2ポイント低下すると言われています。実際、トヨタの時価総額がTOPIXに占める割合は単独でも4%前後あり、直近の痛手だけでも3兆円以上の喪失となりました。特に自動車は日本経済の牽引役となるべき基幹産業ですから、この問題については今後とも注視していく必要があると思っています。

ただ、兄弟ブログの方で、私は「今回のトヨタ車のリコール問題は政治ショーの様相が強いと思われる」と書きました。そして、3日の日経ネットによれば、米調査会社ギャラップが2日発表したトヨタ自動車に関する意識調査によると、リコール問題の発生以降も、トヨタ車所有者の74%が「信頼感は変わっていない」と答えたそうです。調査を実施したのは、豊田章男社長が公聴会で証言した直後。そうすると、やはり、この問題は本来あまり大した問題ではなかった様に思います。にも拘わらず、米政権の支持率低下や、米自動車産業の妬み・やっかみ等もあって、無理やり政治問題にされた感が強い様にも思います。

何れにしても、現在の日本株市場は持ち合いの様相を呈してきていますが、こうした盛り上がらない展開の後には、例えば2004年~2005年型の上昇相場が控えている可能性もあります。従って、今は動きが無くてつまらない展開でも、観察だけはしっかりと続け、今後の投資機会を精査していきたいと思っている次第です。

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2010年2月18日 (木)

日経平均株価10,000円を巡る攻防

現在、日米両株式市場ともに株価が下落に転じ、日経平均株価は10,000円を巡る攻防になっています。2008年秋の金融危機以降、株価は大きく下落しましたが、その後は何とか持ち直し、僅かなからも景気に明るさが見えかけてきたかにも思えます。しかし、金融危機の火種は、まだくすぶっていて、景気が回復傾向にあるとは言えないのが今の状況であり、それを明示している言葉が所謂「二番底懸念」です。実際、過日の記事「金融危機の二番底?」にも書いた様に、昨年11月に起きたドバイ・ショックは、その火種を思い起こさせるに十分な出来事でしたし、現在の株価下落はギリシャの信用不安であり、それがスペインなどの南欧にも飛び火する可能性がある。つまり、未だに二番底懸念は払拭されていない状況なのです。

しかも、現在の株価下落に関しては、ギリシャの信用不安に端を発した二番底懸念だけでなく、それ以外にも要因が有る様に思います。具体的に整理しますと、まず中国が金融の引き締めに入ろうとしています。実際、12日には中国人民銀行が預金準備率(=市中銀行が中央銀行に預けなくてはならない預金の比率)を0.5%引き上げ、これで2カ月連続の引き上げとなりました。それと、やはり忘れてはならないのが、米オバマ政権が新たな金融業界への規制を発表した事で、これもまた株式市場にとっては悪材料だったと思います。

ただ、中国に関しては、金融引き締めとは言っても、これは飽くまでも景気に過熱感が出ているからで、過剰に引き締めることはしないと思います。それに、仮に今回の預金準備率の引き上げが過剰な引き締めだったと判断された場合は、すぐに修正するだろうと思います。

それと、ギリシャに関しても、はっきりとしたキャピタル・フライトは起きていない模様で、その点は「不幸中の幸い」です。さらに、米政権による新たな金融規制の導入に関しても、これは飽くまでも政策要因であり、仮に本当に米国株がヤバくなれば、おそらく米政権は政策後退を印象づける発表を行うに違いありません。

そうした事で、私は現在の相場環境は必ずしも悲観したものではないと思っています。

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2010年2月 8日 (月)

打たれ強い?

現在の株式市場の相場環境は悲観論とまではいかなくても、慎重論を唱えたくなる材料が山積しています。実際、先週金曜日の日経平均株価は10,000円すれすれの所まで下落しました。欧州でギリシャなどに続きポルトガルでも財政悪化への懸念が強まったことを受け、投資家がリスクを取りにくくなるとの見方から米国株式相場が大幅安となり、日本株もそれに連れ安している状況の様です。

ただ、私は先日の記事「今年前半の株価動向の関心事」にも書いた様に、今年前半は株価上昇をメインシナリオに考えています。そして、現在の日経平均株価を企業業績の面からサポートしているのが、ハイテク、とりわけパソコン関連企業の好材料です。実際、米インテルの決算からのメッセージとして、パソコン市場はどうやらアナリスト予想以上に好調な様に思われ、特におおよそパソコン・ケースの中に入っているモノは好調なようです。例えば、HDDのスピンドル・モーターを作る日本電産や、HDD用ヘッドを作るTDKなどはその代表例ですが、ツガミのようにHDDの仕上げに使う小型自動旋盤を作るようなところまでその恩恵が拡がっている模様です。

また日東電工のように液晶パネルの偏光板に使う材料などを提供する企業も、タッチパネル(「Windows 7」から導入)に使われるフィルムが伸びるなど、通常の季節性とは違う状況になっている模様です。それに、パソコン関連の代表格としては半導体がありますが、DRAM価格の上昇に合わせて設備投資も再開されるなどの動きが活発化しているのは新聞紙上でも既に報道されています。

また、銀行株についても増資額が当初予想よりも増えた三井住友FGの株価が悪材料出尽くしと判断されたのか、逆に上昇したりしています。

そうした事もあって、今年に入ってからの日本株は打たれ強くなっていると、私は感じていましたが、さて今後はどうでしょうか?。ポイントは現在も続いている外人買いの動向だと思っています。

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2010年1月20日 (水)

今年前半の株価動向の関心事

年初から、日経平均株価の上昇が続いています。そして、主体別で見ると、やはり買いの主体は外国人です。

私は水準よりもトレンド重視派ですが、水準的に言えば、長い目で見ると今の日本の株価はやはり売られ過ぎだと思います。ですから、短期的な上げ下げを無視して買える人であれば、日経平均株価10,00011,000円から下は買いだと思います。

民主党政権も、漸く景気の二番底を防ぐことに力を入れ始めている模様で、昨年末には長期の成長目標を打ち出すなど、ここに来て少しずつ経済対策に力を注ぎつつある様にも思います。それに、7月の参議院選挙で必勝を期す民主党政権にとっては、この選挙の前までに何とかして株価を上げたいと思うのが自然ではないでしょうか。

現在の鳩山政権は「経済無策」と批判されてきましたが、今までは それらを全て自民党政権当時の失政のせいにする事が出来ました。実際、民主党議員たちは、様々な景気悪化の原因を、偏に「自民党政権がやってきた結果だ」と言ってきました。しかし、何時までも自民党のせいには出来ません。少なくとも今年に入ってからの景気悪化は、もう自民党のせいには出来ないと思います。だとすれば、7月の参議院選挙に向けて、様々な手段を使って景気を浮揚させようとする事も予想されます。

そうすると、こうしたストーリーを株式市場がいち早く織り込みに行くかどうか?。それが今年前半の株価動向の関心事ではないかと思っています。

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2010年1月12日 (火)

金融危機の二番底?

アブダビ政府、ドバイに100億ドル支援 債務不履行を回避

アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国政府は20091214日、UAEアブダビ首長国と連邦中央銀行から100億ドルの資金支援を受けると発表した。ドバイ政府系企業の資金繰り支援のために設立した基金の資金として使う。ドバイ政府はこの一部を同日償還期限を迎えた政府系不動産開発会社ナキールのイスラム債(スクーク)の償還費用にあて、債務不履行は回避されることが確実になった。

(以上、日経ネットより)

私は昨年12月に書いた記事「今や円が安全通貨」の中で、金融危機の二番底の可能性について言及しましたが、実際、ドバイで起きた金融危機はまだ拡大する可能性も否定できません。それがギリシャやスペインなどを通じて、ユーロに拡がる懸念も払拭し切れていない状況です。既に今年もまた金融危機の二番底が来るという噂も出ている模様ですが、一方では上記の引用記事の様な危機回避に向けた動きも出てきており、今後の動向を注視していく必要があると思います。

話変わって、ビジネスの世界では現在、グローバルベースでの再編が起こっています。日本でも、キリンとサントリーが経営統合しますが、こうしたかつては考えられなかった様な再編が今やアチコチで起こっています。そして、この様な経営統合は、経済学で言うところの「規模の経済性」というメリットをもたらします。つまり、装置産業の場合には固定費のウエイトが高いのですが、これが一種のレバレッジと同じ役割を果たしていて、損益分岐点を超えると一気に利益が出やすくなります。そして、経営統合することによって、固定費そのものを削減し、損益分岐点を前倒しさせる効果も期待できますし、更にはライバルと一緒になることで価格競争を回避することも出来ます。

しかし半面、この「規模の経済性」は言わば「両刃の剣」の様なところがあって、レバレッジが強烈なマイナス効果をもたらす場合もあるのです。実際、一昨年秋の金融危機を契機として、トヨタ、日立、ソニー・・・と言った世界に冠たる大企業が一気に巨額な赤字を計上しました。これなどもレバレッジがマイナスに働いた典型例です。そして、もし金融危機の二番底が来た時には、前回の危機と同様、大企業を中心に工場の生産が一時ストップになるのかもしれません。特に、地方経済が受ける危機の影響は、やはり、そういった所からだと思います。更に、危機をきっかけにして、新たな国内工場の再編や海外移転の話が出るのかもしれません。それがまた新たな雇用難をもたらし、日本のデフレを確実なものにしてしまう。株式市場に関わる者としてはあまり考えたくないシナリオですが、やはり現実から目をそらしてはいけません。資産運用と言うのは、精神的にはかくも辛い仕事でもあるのです。

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2009年12月20日 (日)

クリスマス休暇と相場

14日の週は、実質的に外国人投資家が市場に関与する年内最後の週になりました。明日21日の週になると、クリスマス休暇に入る外国人投資家がグッと増えるため、市場の閑散度合いはさらに強まるものと思われます。一方、国内の大手機関投資家などの動きもまた停滞することが予想されます。

ただ、なかには12月末決算のヘッジファンドの様に、パフォーマンス報酬を狙うため、最後の最後まで粘る投資家もいるとは思いますが・・・。それに、少なくとも、昨年、今年とそうそう稼げているファンドはないはずですから、精神的には必ずしも穏やかであるはずがなく、余裕でクリスマス休暇を取る心境でもないと思います。

そうした事から、例年であれば、明日以降は市場でも休暇モードに入るはずなのですが、今年に関しては、この機を狙って、もう一波乱あるかもしれません。もともと低調な日本株市場ですが、今年の場合には、この時とばかり仕掛けてくる可能性も否定できません。三菱UFJの公募株の売買も22日から可能になります。まだまだ油断は出来ないと思います。

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2009年12月16日 (水)

東証が既存株主に配慮する形で増資ルール改正へ

株主配慮の増資促す 東証が上場規則改正へ、利益の目減り回避

東京証券取引所は株主への影響が少ない方式で企業が柔軟に増資できる環境整備に乗り出す。現在主流の公募増資では1株当たり利益の大幅な目減りを招き、既存の株主は一方的に損失を被りかねない。東証は年内にも上場規則を変更し、企業が増資額を自由に設定したうえで、株主への新株予約権の割り当てを通して資金を調達できるようにする。株主に配慮した増資を促すとともに、資金調達の自由度を高めることで、低迷する株式市場の活性化へとつなげたい考えだ。

東証が活用を促すのは株主割当増資と呼ぶ手法で、企業が既存の株主向けに新たに株式を発行して、資金を調達する仕組み。具体的には、株主に対して新株を買う権利(新株予約権)を持ち株数に応じて無償で割り当てる。増資に応じる株主が権利を行使して資金を払い込む一方、購入しない株主は権利を市場などで売却する仕組みとなる。

(以上、日経ネットより)

上記の記事は、既存株主にとっては久々の良い話だと思います。やはり現在、日本株が低迷している理由の一つとしては、間違いなく「公募増資ラッシュ」が挙げられると思います。銀行の自己資本規制の強化などにより、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)が年内に1兆円超の増資を行い、これに他のメガバンクも続くと言われ、また一方で事業法人なども転換社債などを含めて資金調達を急いでいます。

しかし、こうした公募増資によって1株当たり利益(EPS)が希薄化することから、これを嫌気して公募増資予定銘柄は既存株主によって叩き売られるという構図になっています。なので、既存株主の持ち分が希薄化されないでの増資となれば、少なくとも現在のように株価が需給悪化だけをはやして下落する事は無くなる可能性が高いと思われます。そうすると、三菱UFJ以外のメガバンクの株価に関しては、既に公募増資が行われることを想定して、希薄化を織り込んだ形での株価形成となっていますので、もし三井住友FGやみずほFGが新ルールに基づく三菱UFJとは違う形での増資を発表すれば、それを市場は好感するのではないでしょうか。私は、その様に考えています。

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2009年11月20日 (金)

公募増資ラッシュ

前回のブログ記事「デフレ・スパイラルの兆候」では、当該タイトルの如く、現在の日本経済におけるデフレ・スパイラルの可能性について言及しましたが、ただ一方で外人投資家は10月以降、日本株を買い越しています。

しかし、正直言って、短期で収益を上げなくてはならない機関投資家などの目線になると、「さあ、買いましょう」とはなかなか言えないのも事実です。実際、日本株の投資信託の人気も今では全くなくなってしまっています。けれども、安くなった今だからこそ、あるいは安くなりそうな局面だからこそ、本来的には買い出動をして仕込み始める好機であるのも確かです。「今後は株価が上がるでしょう」とはとても言い難い局面。ただ、仕込むには良い状況が始まりつつあるのかもしれません。

しかし、そうは言っても、NEC、日本郵船、日立、三菱UFJと大型の公募増資ラッシュが続いており、需給悪化が懸念される局面でもあります。その中でも、三菱UFJフィナンシャル・グループの1兆円増資には恐れ入りました。今の体たらくな日本における株式市場の状況では不安な話です。けれども、もしそれが何かの刺激となるのなら、一端はヒヤッとするような水準訂正があって、ボラティリティが上がるというのも、実は美味しい話なのかもしれません。この公募は取りに行こうと考えておられる投資家さんも少なからずいるのではないかと思います。

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2009年10月22日 (木)

現状は金融相場

19日の日本経済新聞の1面トップ記事は「世界の株式時価総額「危機前」に迫る 45兆ドル、2月比1.5倍」という割とセンセーショナルな見出しでした。ただ、そう言われても、あまり実感が湧きません。実際、記事にも「日本株は約3割の増加にとどまった」と書いてありました。

しかし、実体経済の悪さを考えると、これほど株価が上がるのは不自然で、これは明らかに金融相場です。これについて、森永卓郎氏が書いている面白い記事を見つけましたので、引用する形でご紹介します。

(引用開始)

927日に為替が1ドル87円近くまで急騰しました。そのきっかけは藤井裕久財務大臣が、ガイトナー米国財務長官との会談で、「世界各国が通貨安競争をすることに自分は反対だ」と述べて、余程のことがない限り、円安誘導のための円売りドル買い介入をしない方針を明らかにしたことでした。円売りドル買い介入は、円の資金供給増に結びつきますから、それがないということは、日本の金融緩和もないということになります。中央銀行が自由にコントロールできる資金量(現金+中央銀行の当座預金)をマネタリーベースと呼びますが、 8月の対前年比伸び率をみると、日本の+6%に対して、EUは+30%、アメリカは+102%です。日銀も資金供給を増やしてはいるのですが、世界との比較でみると、強い金融引き締めになっているのです。

(引用終わり)

つまり、他の先進各国の中央銀行が過剰なまでにマネーを刷って、市中に資金供給しているのに対し、日銀は金融緩和を実行していないと言う訳です。上記の森永氏の記事にもあるように、8月の対前年比の資金供給量の伸びについて、アメリカFRBが100%以上、欧州が30%の伸びを示しているのに対し、日本はわずか6%。この差が、そのまま各国の株価パフォーマンスの格差になって表れていると言っても良い状況だと思います。

なお、米国の7-9期決算の発表で良い数字が出ていることから、米国株は業績相場と思われている方もおられるかもしれません。しかし、少なくとも金融機関の決算に関しては前回記事「ファンドマネージャーは大変」でも書いた様に、私は額面通りには受け取れないと考えており、実態としてはやはり現状は金融相場だと見るべきだと思います。

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2009年10月20日 (火)

ファンドマネージャーは大変

私は718日付で「サプライズ!だったインテルの決算」と言う記事を書きましたが、今回の7-9期決算でもまたインテルは抜群の決算を発表しました。それに、金融機関ではJPモルガンやゴールドマン・サックスが予想以上の好決算を発表しています。週末に発表になったバンク・オブ・アメリカの決算は市場予想を裏切り、水を差していますが、ただ米国の金融機関の決算に関しては、私は以前に「金融危機から1年」と言う記事でも言及しましたが、額面通りには受取れない、かなり怪しいと思っています。

さて、話は変わりますが、機関投資家(運用会社)の場合、その運用資金の大部分を年金基金が占めていますが、多くの運用会社では運用成果の四半期報告を年度の各四半期毎に年金基金に対して行い、パフォーマンスをレビューし、そして今後の運用方針を説明します。年金基金側では、その報告を受けて、各運用会社への運用資金の割振り、そして継続か解約かなどの判断をします。

その際に、年金基金が判断基準としている日本株のベンチマークは、通常は日経平均株価ではなくて、TOPIXです。ですから、運用会社ではTOPIXをアウトパフォームすることが求められます。と言う事は、仮に絶対リターンはマイナスでも、ベンチマークさえ上回っていれば問題ないと言う事にもなります。ここら辺が、運用のプロと称されるファンドマネージャーと個人投資家との大きな違いでもあります。

ただ、ちょっと感覚が違うのは、例えば今の局面の様に、「日経平均株価が10,000円の大台を回復!」などと新聞の見出しに書きたてられると、普通の人は「ああ、株価は上がっているのだな」と認識すると思います。しかし、年金基金などの様に広く分散されたポートフォリオの場合には、実際の連動性はTOPIXに近く、日経平均株価の水準から受ける印象とは乖離する場合がしばしば起こるのです。

例えば、今回の局面。日経平均株価を通して普通の人たちが受ける印象ほど、実はTOPIXは上がっていません。TOPIXの水準は概ね900ポイント前後に貼り付いたままです。にも拘わらず、日経平均株価は上昇している。これは、ある特定の銘柄だけがかなりの部分でパフォーマンスに貢献しているためです。つまり、今の局面は日経平均株価の戻りの印象ほどに、TOPIXのパフォーマンスは改善していないのです。

なので、今の局面では、運用会社のファンドマネジャーは非常に苦しい。つまり、大事な得意先であるクライアントの前で現状説明と今後の見通しを話した際には、必ず次の様に質問されます。「御社ではその銘柄の取扱いをどうされるつもりですか?」「御社のファンドにはどうして、この銘柄は入っていない(あるいは、組み入れが低い)のですか?」と。それに対して、クライアントが納得してくれる様な説明を事前に用意しておかなければなりません。これは現場を知っている者にしか分からない相当なストレスですよ。ファンドマネージャーの給料とは、このストレスに対する報酬と言えるかもしれません。

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